夢のある話だよ。
2坪のスペースで狼煙を上げていた。
薄力粉だ。
ピタパンにとどまらず、部屋全体に打ち粉をまぶすかの作業。
帰るコロニャ、携帯もさらさらになってるんだ。
硝煙の向こう、エンゼルが見えた。
今日は火曜日、オレには週末。
明日は休み。
疲れてるのかな?
ス、スー
スライド式の扉がレールに微かな打ち粉を含んだような音で滑った。
エンゼルは澱みの無いまっすぐな目線でかたる
「わたくし、こういうものなんですけど」
(あー、セールス?ケッコーです!幸せを祈らなくてもイイ、原発推進派の新聞もとらない、光ネットもいらねーよ、)
エンゼルは首にかけたプレートを引き寄せてみせた。
プレートには「XX保育園」
とあった。
「はて?」
私と保育園の関係性?
何の御用でしょう?
「子供達にファラフェルをお願い出来ますか?」
「!」
「60個くらいなんですけど、」
「!!」
「時間は・時くらいにお願いしたいんです。前の日に注文すれば間に合いますか?」
「!!!」
もう、書いたね、オレ。
連絡先から、長所、短所、座右の銘、初恋の話まで。赤裸々に。
「ご連絡ください、よろこんでお作りいたします!!」
エンゼルにうっすら粉打った紙切れを手渡した。
注文来るかな?
来て欲しいよ。
パンクスのキッチンから保育園に納品って、実現したらスゴくない?
別にスゴかねぇーか、この問い合わせはオレ的には朝から興奮したんだよ、笑。
「園長先生、例の店に行ってきました。お店のひとはモーターヘッドみたいな音楽でノリノリのキチガイだったので、発注は止めておいたほうがイイと思います。」
おれはINEPSYを爆音で聴きながらパンを打ってた事をすぐに後悔した。